SNSが私達の生活に浸透し、すっかり多くの人の人生の一部になってから15年ほどでしょうか。

ここ数年で多くのSNSは企業のマーケティングツールとしても有用とみなされ、SNSマーケティングが加速。

しかしそれと同時に当初は「人と人とをつなぐ」ことが目的であったはずのSNSの存在意義は変わり始め、「SNS疲れ」という言葉が囁かれるほど、時として私達を疲弊させるツールになってきてもいます。

もう無料で使えるSNSは、単に人と人とに有益なつながりをもたらす場ではなくなってしまったのでしょうか。

そこはもちろん友人同士のコミュニケーションの場でもありますが、それ以上に熾烈なマーケティング戦争の行き交う場であり、さらには自己承認欲求という魔物に取り憑かれた人々が死んだ目をして赤い「いいね!」マークを求め続ける、荒野に成り果てた気すらします。

これはなんか違うかもしれないな。
SNSはもう新しい局面を迎えているのかもしれない。

今回はそう思うきっかけになった一冊の本「デジタル・ミニマリスト」についてご紹介します。

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Cal Newportの「デジタル・ミニマリスト」

この動画はカル・ニューポートというコンピューター科学者の男性のTEDスピーチ。

彼は「Digital Minimalist(邦題:デジタル・ミニマリスト)」という書籍を出版しベストセラーになっています。

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カルが書籍やこのスピーチで伝えているのは、SNS漬けになってしまうことの危険性と、そこから逃れることで手に入れられる豊かさ。

彼自身が私とほぼ同年代の前期ミレニアルズでありながら、なんと一度もソーシャルメディアのアカウントを持ったことがないそうです。

彼の持論では現代のSNSは敢えて中毒性を帯び、人々がそこに依存し消費を煽られるようにデザインされているといいます。

確かにSNSは有益な繋がりをもたらすこともあるのですが、現代の状況ではそれ以上に、SNSによって心の健康を蝕まれている人が多いのも事実です。

SNS上での「いいね」や「フォロワー」の数に振り回されて、そもそも人生でもっと大切なことがあるのにそれを忘れてしまっていたり、

匿名性の高いSNSでは誹謗中傷などで心を痛める人も少なくありません。

重大な心の病ではないにしても、SNSが本来私達が持っているはずの「豊かさ」の価値観を、スクリーン上の「いいね」や「フォロワー」の数とすっぽり入れ替えようとしているかのようです。

そこで彼が提案しているのが、30日のデジタル・デトックス。

30日間SNSの使用を一切やめ、スクリーンを見て過ごす時間を最小限にし、自分にとって本当に大切なことに集中するという試みです。

短期間のデジタル・デトックスができる施設やサービスというのは世界中に存在するんですが、カルの提唱するメソッドは単に「短期間SNSから離れてリフレッシュする」というようなことではありません。

デジタルツールとの関わりを見つめ直す

カルのデジタルミニマリズム論では、一定期間SNS絶ちをした後に「そもそものSNSとの付き合い方」を再考慮し、要らないものは徹底的に排除します。

30日間のデトックスの結果、必要ないとみなされたアプリやサイトは削除するか、使用を最低限に制限していくのです。

これは「気になる」「開きたい」という気持ちの問題ではなくて、

実際にそのツールがどのくらい自分にとって有益か、そしてどのくらい害があるのかということを細かくチェックしていくのがデジタルミニマリズム。

「皆が使っているから」「面白いから」というだけでは使用していい対象にはなりません。

どうしても必要な繋がりでない限り、全てから「ログアウト」することを勧めているのです。

「SNSがないとフリーランサーとして成功できない」は本当?

カルのデジタルミニマリスト論について話すと多くの人が

「それはわかるけど、仕事のためにSNSは必要だから」
「SNSでフォロワーが増えないと誰にも認知してもらえない」
「SNSが仕事のきっかけになっているから手放せない」

といいます。

まあ確かにそれも一理あるように聞こえるんですが、カルの動画でまさしくそれについても触れています。

彼自身もSNSでの宣伝活動など一切行っていないにも関わらず出版した本はNYタイムズのベストセラー、自身のブログには彼の発信する情報を得たい人たちが日々訪れます。

カル曰く、「本来世の中が価値のあるものとして評価するのは、希少で有益な結果である」とのこと。

これって冷静に考えれば当たり前なのですが、本来長期的に人に愛されお金を払ってもらえるサービスやコンテンツというのは、人々にとって有益で他では得られない(自分では作れない)希少価値があるものだから。

単にインスタフォロワーが多いからってその人に課金するかといったらそうではありませんよね。

私はこれまでSEOライティングやwebメディアの編集に関わってきました。

実際webメディアの世界でも、インスタ運用などしてなくてもコンテンツが素晴らしいという理由で、すごいPV数やCVRを叩き出すサイトは沢山あります。

というかそれが本来当たり前なのですが。

一昔前はSEO対策って単純にキーワードを盛り込めばOKみたいに思われていましたが、今は検索サイトもどんどん基準を変えているので検索クエリに対して、的確で有益な情報を網羅しているメディアでなければなかなか検索上位には上がれないわけです。

よって、必然的にコンテンツの中身が充実していること、ユーザーにとって本当に有益であることが求められているんですよね。

それは逆に言えば、本当に役立つ情報やサービスを発信していれば必ず探している人の目に留まる、ということでもあります。

そういったかたちで出会ったユーザーのほうがSNSのフォロワーに比べ、あなたの提供するサービスを本当に必要としている=課金する可能性が高い人達なのではないでしょうか。

これはwebメディアに限らず言えることかと思います。

サービスやモノづくりであっても、SNSでフォロワーを獲得することに時間をかけるよりまずは、自分の技術や知識・サービスの質を高めることに最も時間を費やさければいけませんよね。

そうしていかないと特にコロナ禍以降、失業者も増え人々が「本当に必要なものしか買えない・欲しくない」という経済情勢になった時、中途半端なものって真っ先に淘汰されてしまう気がするんです。

私なりのデジタルミニマリズム

たぶん今30代半ばくらいのミレニアルズって、デジタル・ネイティブであるジェネレーションYやZの皆さんと違いSNSの創成期にはすでに20歳くらいで、成人としてその推移を見てきているんですよね。

SNSが普及してそれまでのコミュニケーションがガラリと変わって、皆が一生懸命写真をアップしてタグ付けとかし始めた頃から、mixiとかmyspaceみたいな一部のSNSが淘汰されていき(なつかし〜〜…)、
だんだんSNSがマーケティング色を帯び、インフルエンサーという職業が認知され、人々がSNS疲れを訴えるようになってきた今に至るまでを、なんとなく、しかし紛れもない当事者として過ごしてきたわけです。

SNSも10年15年という時が過ぎれば、当然時代とともに変化するわけで。

私自身も去年カルのデジタルミニマリズムメソッドを試し、まだ模索中ながらも徐々に自分の「いま」に合った「デジタルミニマリズム」を見つけはじめています。

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↑Artist’s Wayも、クリエイティビティを取り戻すプログラムとしておすすめ。

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私が具体的にやっていること

実際私がデジタルデトックスをして以降どんなふうにSNSとつきあっているかですが、

大まかに言うと

・SNSのアプリをスマホに入れない
・必要と感じたツールは制限された時間内で使用する
・SNS上で繋がる人、情報を最適化する

というようなこと。

そもそも私はFacebokもTwitterもスマホにアプリを入れていなくてですね、Messengerのみを使っていました。

なのでこの2つはこのままで、現在はさらに使用ペースを減らして1日1回だけ開くようにしています。

ちなみに最近Facebookに関しては、メッセンジャーで親しい友人と個別にメッセージし合うことはあるんですが、ログインしてもタイムラインをほぼ見なくなりました。

距離を置くことで、だんだんとこのプラットフォーム自体に魅力を感じなくなってしまったようで、友人のポストを追っかけてスクロールもしないし、なんなら1,000人近くの人と繋がっているけどほとんどはミュートしているので、あまり興味がない相手の投稿などは一切表示されません。

これが「最適化」にあたるのですが、カルの理論ではSNSをなんらかの理由で使い続けるのであれば、それを最適化することを求めます。

例えば私のように一部の親しい友人以外はミュートして、過剰な情報は入ってこないようにするとか、場合によってはフレンドリスト/フォローリストを編集して必要のない繋がりは断つことが必要かもしれません。

実際最近、放置していたFacebookのフレンドリストをまるっとチェックしてみたのですが、恐ろしいことに自分でも誰だかよく思い出せないような、大昔に1回会っただけみたいな人とも沢山繋がってるんですよね。

もちろん昔旅先で一度会っただけ、みたいな人の中にもぜひまた会いたい、繋がっておきたい人たちはいます。

でも逆に「これマジで誰だか思い出せない…」という相手もちらほら。

そういった繋がりを維持し続ける意味って…あんまりないですよね。

インスタグラムに関しては最近までアプリを入れていたんですが、これも削除しました。

今は必要な時だけ(自分のブログの更新とかをお知らせしたい時だけ)PC上にiPhone環境を作ってそこから投稿しています。

ストーリーズの投稿はできないし、友達がリアルタイムで何をしているかといった情報は見ることがなくなりましたが、別にだからってなんのことはないですね。

気になる相手には「いまなにしてる?」って一言メッセージすればいいだけです。

デジタルミニマリストの在りかたは人それぞれ

最近こんな動画もみつけてちょっとおもしろかったので興味のある方はどうぞ。

ただこの動画内のお話が全部納得・正しい!みたいなことではないのですが。

カルのデジタルミニマリズムでは30日「最適化」を行い、個々にとってベストなデジタルツールとの関わり方を見つけていきます。

それはこの方たちが語っているような「SNSのいまとこれから」を、一般の個人それぞれが自分に当てはめて考えることを求めている、ともとれます。

動画内で箕輪厚介さんもちょっと触れているのですが、SNSはこれからもっとプライベートな空間として機能するようになっていくんじゃないか?という話がありました。

確かにそうかもな、と思います。

匿名性の高いSNSでは誹謗中傷のような問題も増えていて、そうでなくでも目に見えない相手からの「いいね」数に気持ちを左右されたり、本当はそこまで付き合いたくない相手とのSNS上での繋がりに面倒さを感じたりということは誰もが経験していますよね。

そうなってくると、もう少しプライベートなコミュニティとしてのSNS(LINEやFBグループの進化形のような?)だったり、今後SNSも新しい形に変化していくのかなって気がします。

そして大事なのは、どういったサービスが流行ろうと、それが本当に自分にとって大切かどうか見極めること。

周りの流れに左右されず、自分にとっての「本当に大切なこと」を明確にしておくことでしょう。

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「集中できない」ならデジタル断捨離必要かも

ここまでデジタルミニマリズムをゴリ押ししておいてなんですが、こういったメソッドが特に必要ない人達もいます。

私の友人たちには「SNS疲れ」なんて言葉が出てくるずっと前から「メールチェックやSNSを開くのは1日1回、朝の30分間だけって決めてる。アプリも入れてない。」っていう人も結構いました。

元々SNSとうまく距離を取って付き合えている人たちにとっては、SNSがそこまでの脅威ではないのでしょう。

でも私なんかは意志がメッチャ弱いので、新しいオモチャを目の前に出されたら子供のように夢中になっちゃうんですよね。

自分の生活を振り返ってみて、「あれもこれもやりたいのに、なんか集中できない」と感じるなら、それは必要ないコミュニケーションや情報収集に時間を取られすぎているからなのかもしれません。

カル・ニューポートのメソッドが気になった方は書籍もチェックしてみてくださいね。

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MIKI

2006年からマッサージセラピストとして都内のスパに勤務。
在職中にアロマセラピーの知識を身につけ、タイでタイ古式マッサージのライセンスも取得。

その後オーストラリアなどの海外在住中にも、セラピストとして現地スパやイベントなどで施術を行う。
並行してフラフープインストラクターやパフォーマーとしても活動。
国内外の音楽フェスで遊び続けたフェスフリークでもある。

その後、オーガニックアロマブランド勤務やヘルステック企業でのコンテンツ制作を経て現在はフリーランス。

意識しているテーマはスピリチュアリティとテックの融合。
リモートワーカーとして海外ノマド生活もしながら、心も体もどんどん自由に生きる術を探求中。

・WANDEE THAI MASSAGE SCHOOL タイ古式マッサージ/リフレクソロジー/オイルトリートメントコース修了
・シータヒーリング®プラクティショナー(基礎,応用DNA)
・HoopYogini™ Certified Instructor
・Rainbow Kids Yoga Certified Instructor
・フープ東京認定インストラクター
・Pacific Essences® Energy Medicine® Level1修了

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